熱処理
ネジやボルトにはどんな「熱処理」をするので しょうか?
 
タッピンネジやドリルネジなどにおこなう「浸炭焼き入れ」と6角穴付ボルトやハイテンボルトなどにおこなう「調質焼き入れ」 が代表的です。

「浸炭焼き入れ」

タッピンネジは相手材にタップをたてなければいけないので、 ねじ山をより硬くする必要があります。そのため、鋼の表面を より硬くする「浸炭焼き入れ」を行います。 タッピンネジの材質のSWCH16A・18Aは浸炭ガス層の中で 
   (浸炭ガス−熱処理される鋼に炭素を与えるガス)
900℃近くで「焼き入れ」をすると炭素をよく吸収し表面が特に硬くなります。この表面の硬くなった層を「浸炭層」と言います。 さらに、安定した組織にするために「焼き戻し」を行います。焼き戻し温度は300゜C〜400゜Cです。ちなみに、SWCH16Aの「16」は、0.16%の炭素を含んでいる ことを表します。鋼は炭素が多いほどより硬くなります。

 
「調質焼き入れ」
6角穴付ボルトは「強度区分12.9」や「強度区分10.9」の 高強度を保証しなければいけないので、「硬さ」だけでなく破断を おこさないための「ねばり」も求められます。そのため「ねばり」の ある組織をつくる「調質焼き入れ」を行います。 6角穴付ボルトの材質のSCM435は炭素量が多く焼き入れ性が 優れていて800℃〜900℃で「焼き入れ」後、450℃〜550℃で 「焼き戻し」すると硬くてねばりのある組織に調質されます。 (ソルバイト組織)

ちなみに、SCM435の「435」は、0.35%の炭素を含んでいることを表します。